Ⅰ:業務モデリング
業務モデリングとは
業務モデリングとは、個々の業務プロセスを一連の流れとして見える化することを言います。見える化して出来上がったものが、業務フローです。業務の流れを整理するときには、業務棚卸を行います。棚卸されたある一定の業務単位ごとに見える化を行います。
業務棚卸とは
業務の棚卸は、部門ごとに日頃行っている業務を洗い出します。例えば、経理部門であれば「決算業務」「精算業務」「売上計上業務」などの大きな括りの業務(大項目)をまずは洗い出していきます。次に、この大きな括りの業務を構成している中項目の業務を書き出していきます。そして、中項目を構成している小項目の業務を書き出していきます。
業務の棚卸では、自部門の業務を書き出し、その業務の範囲はどこからどこまでか。ここの共有認識を持つところまでを行います。意外とこの業務範囲の認識が、人それぞれ異なることが多いです。同様に、言葉の定義の認識合わせも重要です。普段、何気なく使っている言葉の意味、正式名称の確認などが必要となります。自部門の業務の整理ができたら、他部門との擦り合せを行います。
この業務の棚卸は、業務フローを作る前準備として必ず行います。この前準備がきちんとできていると、業務フローの作成がスムーズに進みます。
業務フローとは
業務フローは、各部門ごとにある業務の分類(下図では発注、納品、売上計上など)と業務の棚卸(業務で何をしているのか書き出された表)を足し合わせ、時間の流れに沿って具体的な作業内容を書き出していったものです。
誰が見ても分かりやすい業務フローは、各業務プロセスに必要な情報や業務プロセス同士をつなげるときに必要な情報がきちんと書き出せているものです。これらの情報が書き出せていないと、ただ単に業務の流れが書き出されている業務フローになってしまいます。業務フローから読み取れないと困る項目の代表的なものを右に示します。業務フロー以外に業務マニュアルや業務を良く知っている人の話がないと業務の全貌が明らかにならないような状況では困ります。業務フローひとつ見れば、やり取りしている情報、タイミングなどがわかる。このレベルの業務フローの作成を目指しています。
業務プロセスは業務フローの構成要素
業務フローの構成要素は、業務プロセスです。一つひとつの業務プロセスを分解して、粒度の細かい業務プロセスを洗い出していきます。そして、必要事項をモレなく書き加えていくことが重要となります。一つの業務プロセスに動詞は一つです。 業務プロセスを分解して粒度を細かく書き出していくことは、日頃の業務をよく理解していないとできません。細分化せずに大きな単位で業務プロセスを書き出してしまうと、業務プロセス同士がつながらず、業務フローが出来上りません。
必要な情報とプロセスモジュール
業務プロセスには、8つの情報が必要となります。業務プロセスの入力、出力、処理、名称を明確にすることをはじめ、どのような前提条件やタイミングがあり、何を開始条件とするか。やり取りするドキュメントやデータは何かなどを書き出していきます。この8つの情報を書き出した業務プロセスを、「プロセスモジュール」と呼んでいます。業務プロセスの洗い出しができてきたら、次に業務プロセスをつなぎ合わせていきます。このつなぎ合わせるときにも、8つの情報が必要となります。日常業務のミスやトラブルが起きやすいのは、他部門への業務の受け渡し時です。この8つの情報を書き加えることで、認識違いなどを発見することができ、ミスやトラブルの原因を追究することが出来ます。
自分で業務モデリングに取り組む
当り前ですが、自分の業務は自分が一番良く知っています。まずは、自分の業務は自分で業務モデリングしてみてください。はじめは、書き方というよりも業務を分解して書き出すことが大変だと思います。しかし、業務フローを書く担当者を配置しても、結果的には時間が多くかかります。なぜなら、担当者に自分の業務内容を説明し、理解してもらった上で業務フローを作成してもらう。出来上がった業務フローの内容を確認し、修正箇所を担当者に伝え、修正してもらい、また内容を確認する・・・以上のようなステップを踏む必要があるからです。このステップを考えると、はじめから自分で業務フローを作成してしまった方が早いと思いませんか。そもそも自分で自分の業務の業務フローを作成するのは、業務内容の理解度などを図るためにも、仕事と同じくらい重要なことではないでしょうか。日頃、時間に追われながらも取り組んでいる自分の業務を整理しながら、書き出してみてください。何気なく進めている業務も、自らが業務プロセスを書き出し見える化することで、不都合な点や疑問点、業務を覚えた当初と現状の業務との差異などを見つけることができるのではないでしょうか。
カレンコンサルティングは、業務プロセスの可視化(業務モデリング)の知識やスキルが誰でも身に付くように、業務プロセス可視化の基礎的な考え方から始まり、業務改善に活かすための業務フローづくり、内部統制のための業務フローづくりはもちろんのこと、標準業務プロセスを作りさらにシステムへ落し込みたい等、様々な要望について的確なご支援と知見を提供しています。
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